先日、家族で沖縄へ行ってきました。青い海、広い空、本州とは少し違う街並み。そして旅行中の楽しみといえば、やっぱり…沖縄ならではの食事‼︎
海ぶどう、島豆腐、沖縄そば、豚肉料理。実際に食べてみると、普段の食卓とは少し違う食材や食文化に触れる機会がたくさんありました。そんな沖縄の食事を楽しみながら、ふと思ったことがあります。
「そういえば、沖縄って長寿県じゃなかったっけ?」
沖縄と聞くと、「長寿」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。でも調べてみると、沖縄はかつて日本トップクラスの長寿県だった一方で、現在は少し状況が変わっています。
では、何が変わったのでしょう。そしてそもそも、
「長生きすること」と
「健康に生きること」は、同じなのでしょうか?
今回は沖縄旅行をきっかけに、食事と栄養、そして「健康に生きる」ということについて、看護師・分子栄養学の視点から考えてみたいと思います。

沖縄は
長寿の県?
沖縄は、かつて日本を代表する長寿地域でした。
1980年の平均寿命の都道府県順位では、男女ともに全国1位。ところが2020年の都道府県別生命表では、沖縄県の平均寿命は、
男性 80.73歳/全国43位
女性 87.88歳/全国16位となっています。
全国平均は男性81.49歳、女性87.60歳なので、2020年の沖縄は、男性は全国平均を下回り、女性は全国平均を上回っています。沖縄県の平均寿命そのものは男女とも長期的に延びていますが、他県との比較では順位が下がってきました。 つまり、「沖縄の人が昔より短命になった」という単純な話ではありません。
寿命自体は延びているけれど、全国の伸びとの関係で順位が変化している、ということです。
さらに沖縄県の調査では、20歳以上の肥満者(BMI25以上)の割合は、男性 41.6%
女性 24.8%で、30〜50歳代の男性では約半数が肥満という結果も出ています。
もちろん、これだけを見て、「食生活が変わったから寿命の順位が下がった」と結論づけることはできません。健康には食事だけではなく、運動、睡眠、喫煙、飲酒、医療、社会環境など、さまざまな要因が関係するからです。ただ、沖縄県も、ライフスタイルや価値観の多様化などによって食を取り巻く環境が変化し、若い世代を中心に伝統料理離れが進んでいるとしています。
沖縄の変化を知って、私は改めて考えました。
「長生きすること」と「健康に生きること」は、同じなのか?

日本人は長生きだけど
「健康に生きられる期間」は?
日本は世界でも長寿の国として知られています。
厚生労働省によると、2022年の平均寿命は、
男性 81.05歳
女性 87.09歳
一方、同じ2022年の健康寿命は、
男性 72.57歳
女性 75.45歳
健康寿命とは、
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
平均寿命との差は、男性8.49年、女性11.63年です。 この差がそのまま「寝たきりで過ごす年数」という意味ではありませんが、大切なのは、
「何歳まで生きるか」だけではなく、
「どんな状態でその時間を過ごせるか」
自分の足で歩く。
自分で食事をする。
食べたいものを食べる。
行きたいところへ行く。
家族と出かける。
好きなことを楽しむ。
そんな時間をできるだけ長く過ごすために、
今の私たちにできることは何でしょうか。

そもそも「健康」ってなんだろう?
「健康診断で異常がなかったから健康」「病気になっていないから健康」もちろん、それも健康を考えるうえで大切な指標です。でも私は、健康をそれだけでは考えていません。ここで少し、分子栄養学の視点から身体を見てみます。
私たちの身体は、たくさんの細胞からできています。
そして身体をつくり、動かし、その機能を維持していくためには、糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルなど、さまざまな栄養素が必要です。
私たちの身体では毎日、
食べる→消化する→吸収する→必要な場所へ運ぶ→身体の材料やエネルギーとして利用する→不要なものを排泄する
という営みが繰り返されています。

▪️筋肉を動かすこと
▪️体温を保つこと
▪️身体をつくり、修復すること
▪️さまざまな代謝を行うこと
そのためには「材料」が必要です。
だから、健康診断では大きな異常がなくても、
⚠️朝起きるのがつらい
⚠️いつも疲れている
⚠️甘いものが欲しくなる
⚠️便秘や下痢を繰り返す
⚠️頭痛が当たり前になっている
⚠️生理前になると毎月つらい
そんな身体からのサインがあるなら、
「いつものことだから」で終わらせず、
自分の身体を見直してみる。
食事だけでなく、睡眠や休息、運動なども含めて身体の状態を考えてみる。私は、それも自分の健康を守ることだと思っています。
※これらの症状にはさまざまな原因があり、栄養だけで説明できるものではありません。症状が強い場合や長く続く場合には、医療機関への相談も大切です。
長寿で知られてきた沖縄には、
どんな食文化があった?
今回の旅行でも、沖縄ならではの食材をいろいろ食べました。海ぶどう、島豆腐、昆布、豚肉に…大好きなもずくにグルクンの唐揚げ!

沖縄県が紹介する伝統的な食文化では、地域に根ざした野菜・魚介・海藻・豆腐・豚肉などが多く使われ、昆布など外から入ってきた食材も取り入れながら独自の食文化がつくられてきたとされています。
また、昔の庶民の食事では芋を主食とし、野菜や野草、豆腐、モズクやアーサなどの海藻を使った食事がみられたという沖縄県の資料もあります。
でも、ここで伝えたいのは、
「海ぶどうを食べれば長生きできる」
「島豆腐を食べれば健康になる」
ということではありません。健康を一つの食材だけでつくることはできません。
いろいろな食材を組み合わせることで、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、身体に必要なものを摂っていく。昔ながらの沖縄の食文化には、今の私たちの食事にも取り入れられるヒントがあるように感じます。
豚肉も昆布も豆腐も
「組み合わせる」沖縄料理
沖縄料理と聞くと、豚肉を思い浮かべる人も多いと思います。今回の旅行でも、ラフテーやてびち、沖縄そばなど、いろいろな豚肉料理をいただきました。
沖縄県によると、伝統的な琉球料理では豚肉を茹で、アクや余分な脂を取り除いてから調理したり、その茹で汁をだしとして利用したりする調理法があります。
また、豚肉と昆布、島野菜と島豆腐など、食材を組み合わせて使うことも特徴として挙げられています。
「身体にいい食材を一つ探す」のではなく、いろいろなものを組み合わせて食べる。
これは私が普段、食事を考えるうえで大切にしていることとも共通します。
どんなに良い食材だったとしても、それだけを食べ続けるのではなくいろいろな食材を日々摂り入れることで様々な栄養が身体中を巡ってくれるのです。

沖縄で気になった「塩」
塩は全部同じなの?
みなさんはどんなお塩を使っていますか?私はぬちま〜すがお気に入りです🫶
お土産屋さんの棚を見ると、本当にたくさんの種類があります。
塩の主成分は塩化ナトリウムですが、海水を原料とした塩などには、商品や製法によってマグネシウム、カリウム、カルシウムなどの成分が含まれるものもあります。
そこで知っておきたいのが、
「塩の重さ」と「食塩相当量」は必ずしも同じではないということ。
食品表示でよく見る「食塩相当量」は、食品中に含まれるナトリウム量を食塩に換算したものです。
消費者庁が示す換算式は、食塩相当量(g)
=ナトリウム(mg)×2.54÷1,000です。
たとえば、沖縄でつくられている「ぬちま〜す」は、メーカーがマグネシウムなど複数の海洋由来成分を含むことを公表しています。
でも、ここで一つ注意したいことがあります。
ミネラルを含む塩=たくさん摂っていい塩、ではありません。
ナトリウムも身体に必要なミネラルの一つですが、通常の食生活では不足する可能性は低く、摂りすぎには注意が必要。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の食塩相当量の目標量を男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満としています。
だから私は、「ミネラルを摂りたいから塩を増やす」という考え方ではなく、魚、海藻、豆類、野菜など、毎日の食事全体からさまざまなミネラルを摂ることを基本にする。そのうえで、味や料理、成分の違いを知って、自分が使いたい塩を選ぶ。そんな使い方がいいと思っています。
「ミネラルを意識すること」と「塩分を摂りすぎないこと」は、両立できます。

食べることは
「身体をつくること」
ダイエットというと、「何を減らそう」「何を我慢しよう」「どうしたら早く痩せるんだろう」そんなことばかり考えてしまいますよね。私もずっとそうでした。サラダのみにしてみたり、置き換えダイエットに断食。
でも、そもそも食事は
私たちが生きていくための
材料とエネルギーを身体に届けるもの。
体重だけを見て食べる量を減らすのではなく、
ちゃんと食べられているかな?必要なものは足りているかな?
眠れているかな?便は出ているかな?疲れをずっと引きずっていないかな?
そんなふうに、自分の身体を見ることも大切だと思います。
痩せるために健康を犠牲にするのではなく、身体を整えていく中で、体重や体調にも目を向けていく。
これが、私が「食べて整える」という言葉に込めていることです。

自分の健康を
自分でつくっていく
病気になったときには、もちろん医療が必要です。薬が必要なこともあります。遺伝や病気、生活環境など、自分だけでは変えられないこともあります。だから、健康のすべてを自分でコントロールできるわけではありません。でも、
何を食べるか。
どう休むか。
身体を動かすか。
自分の身体から出ているサインに気づくこと。
私たち自身にできることも、たくさんあります。健康は、「病気になってから考えるもの」だけではありません。毎日の小さな選択が、これから先の身体をつくっていきます。
最後に…食べることは
未来の自分をつくること
今回、沖縄へ行って、きれいな海を見て、広い空と満天の星空を見て、家族と遊んで、沖縄のものをたくさん食べて。
「健康ってなんだろう?」
「生きるってなんだろう?」
と改めて考えました。
ただ長く生きることだけではなく、
行きたいところへ行ける。
食べたいものをおいしく食べられる。
大切な人と一緒に笑える。
そんな時間をできるだけ長く過ごせる身体でいたい。そのために、私たちが毎日できることの一つが、
「食べること」
だと思っています。
特別なものを一つ食べれば、健康になれるわけではありません。
①毎日の食事を大切にする。
②自分の身体を知る。
③身体からのサインを見逃さない。
そして、
食べながら
身体を整える。
自分の健康を、自分でつくっていく。
これからも、そんな食事と身体のことを伝えていきたいと思います♪

食べないではなく、食べながら整える。
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